イノベーション創出とデザイン思考

ビジネスモデルにイノベーションを起こす

Topic 39 弱みの克服よりは強みを伸ばすことに注力する

自社の経営資源を検証したときに、強みはこんなところにある。ここが弱みになっているとかあると思います。
全てにおいて強みがある経営資源を保有しているとか、なかなかあるようなことではないです。
 
そこで、弱みの克服に必要以上に力を入れないことです。
かけられるコスト(お金・時間・手間)は有限です。
弱みは致命的にならない程度に留めておけば良いのです。
それよりは、強み(キーリソース)を強化して活かすことにコストをかけて、より尖がった価値を生み出す方が有効です。
弱みを克服することに力を入れ過ぎると、強みを弱めかねないことにもなります。
 
ある特定の事実(ファクト)を見てもそれが強みなのか弱みなのかは経営戦略によりけりでもあります。
アマゾンはロングテールでありとあらゆるジャンルの書籍を取りそろえて、インターネットによる無店舗で販売しています。
一方で、蔦屋書店は店舗販売です。取り扱う分野を絞り込み、特定のジャンルの専門書店とし、コンシェルジュによる相談や提案などを行うことによる徹底した対面販売を実施しています。
アマゾンと蔦屋書店は、もとより経営戦略が大きく異なりますが、経営資源の観点からすれば、全くの真逆でありながらも、それぞれに成功を勝ち取っています。
 
今ある経営資源をどう活かすかなのです。
 
補足です。アマゾンが実店舗を持つ動きがありますが、これまでの歴史という観点から述べました。

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Topic 38 VRIO分析は経営資源の力を量るバロメーター

経営資源は、ヒト・モノ・カネのような有形資源に、ノウハウや情報のような無形資源も加えて検討をします。
 
経営資源に対して、次にある問いかけをします。
・Value(経済価値) 市場に対して経済的な価値を生み出せるのか?
・Rarity(希少性) 経営資源を保有する競争相手は少ないのか?
・Inimitability(模倣困難性) 経営資源を他の競争相手が模倣するのは困難か?
この3つの問いかけに全て「YES」となって、優れた経営資源を保有していることになります。
 
・Value(経済価値)に対して「NO」であれば、競争劣位となります。
・Rarity(希少性)に対して「NO」であれば、競争均衡となります。
・Inimitability(模倣困難性)に対して「NO」であれば、一時的な競争優位となります。
 
次に組織に対して、問いかけをします。
Organization(組織の有効活用性) 経営資源を活用できる組織を保持できているのか?
この問いかけに対して「NO」であれば、競争力ある価値を創造できるとは言えないことになります。
 
ポイントになるのは、最後に組織に対しての問いかけがあることです。
どんなに優れた経営資源を保有していても、組織がいけてなければ、競争優位とはならないのです。
 
どんなビジネスモデルを描いたとしても、そのビジネスモデルを実行するのは組織です。
どんなアイデアでも活かせるかどうかは組織にかかっています。
組織をどうデザインするかは大切です。
そして組織を構成するのは、言うまでもなく「人」です。
ビジネスの基本は「人」にあるのです。
 
少し補足します。
VRIO分析のようなフレームワークは現状把握のチェックリストになる有効なツールです。
フレームワークはロジカルシンキングで言うところのMECE(漏れなく、だぶりなく)とするものです。
このようなツールも適宜取り入れることは、デザイン思考でも有効であり、デザイン思考とロジカルシンキングは対立軸にはないと言うことです。

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Topic 37 デザイン思考では問題定義と創造で発散と収束を繰り返す

デザイン思考のプロセスは、いくつか示されているが、だいたいは同じで、
「共感」「問題定義」「創造」「プロトタイピング」「テスト」の順と捉えて頂いて大丈夫です。
ここで少なくとも「問題定義」と「創造」で発散と収束の繰り返しが必要です。
 
そもそも解決するべき問題は何なのか?
解決するべき問題とは、顧客ニーズです。
昨今のようにサービスもプロダクツも満たされている世の中では、自分自身にどんなニーズがあるのかも分からないのです。
言い換えれば、お客さんにニーズを問いかけても答えは返ってこないのです。
そこで、問題定義フェーズでは、ニーズを見つけるための発散と収束が必要となります。
次に創造フェーズでは、問題の解決策を見つけるための発散と収束となります。
 
英国デザイン協議会は、問題定義での「探索」と「定義」による発散と収束と創造での「展開」と「提供」による発散と収束が必要としています。
これをダブルダイヤモンドモデルと言います。
 
問題定義と創造のフェーズでは、とにかくアイデアを出します。
量が質の高いアイデアを出すのです。
 
発散と収束の繰り返しは、組織のマネージャーをイラつかせるものかも知れないです。
マネージャーは自由な発想を求めながらも予算とスケジュールの制約を求めるのです。
さらには、新しいアイデアを求めながらも失敗を認めないことがあるのです。それはマネージャーの保身かも知れません。
リソースは有限なので、組織の力学とのジレンマが発生することが多々あります。
往々にしてこのジレンマがイノベーション創出を阻んでいます。
 
「優れたアィデアを手に入れるいちばんの方法は、アィデアをたくさん持つこと」
ノーベル賞受賞 ライナス・ポーリング
 
参考文献 誰のためのデザイン? D. A. ノーマン(著)

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Topic 36 デザイン思考は革新的なイノベーションのためのメソッドなのか?

イノベーションには2種類あります。
・エボリューション 進化
・レボリューション 革新的

デザイン思考は革新的なイノベーション創出のためにあるのか?
製品を進化させることには向いていないのか?と問われるとすれば、答えは「NO」です。
既存の製品を進化させるためにも使えるメソッドだからです。
 
デザイン思考のプロセスは、いくつか示されているが、だいたいは同じです。
「共感」「問題定義」「創造」「プロトタイピング」「テスト」の順と捉えて頂いて大丈夫です。
 
曲がるストローを例にします。
発端は子どもに対する行動観察からです。
ストローで飲みにくそうにしている子どもの様子を見たのが始まりです。
子どもは背が低いのでストローに口が届かないのです。
 
曲がるストローに至る経緯がデザイン思考のプロセスになっています。
「共感」、子どもに対しての共感で、ストローを使って快適に飲みたいはずと気づきを得る。
「問題定義」、子どもでもストローで飲みやすくする。
「創造」、ストローが曲がるようにしてみてはどうか。
更に、製品化となるまでに試行錯誤があったとのことです。
 
曲がるストローは、正しく、ストローの進化です。そして、新しい価値を生み出しています。
 
マーケテイングリサーチをすれば、曲がるストローの需要を発見することができたでしょうか?
きっと、答えは「NO」です。
 
デザイン思考は、マーケテイングリサーチでは発見できない需要を顕在化するメソッドです。
それは、革新的なイノベーションに限らないのです。

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Topic 35 メリットとベネフィットの違いを認識してビジネスをしていますでしょうか?

メリットとは、サービスやプロダクツから得られる利点です。
ベネフィットとは、サービスやプロダクツから得られる体験とその感情です。
 
温泉旅館を例にします。
 
・天然成分たっぷりの温泉
・1部屋ごとに専任の中居が担当
これは、機能です。提供している事柄そのものです。プロダクツの性能も機能に位置付けられます。
 
・疲れを癒す、肌に良い
・いき届いたサービスを満喫できる
これは、機能から得られるメリットです。
 
・肌にうるおい、肌に自信
・思い出となるとっておきの時間
これは、メリットから得られるベネフィットです。言い換えれば体験とその感情となります。
 
機能とメリットとベネフィットは因果関係でつながっているのです。
 
どんな価値を提供していますか?と聞かれて、機能そのものを答えていませんか?
確かに機能価値と言う価値の分類はありますが、昨今のようにサービスもプロダクツも満たされている世の中では、メリットやベネフィットを価値と捉える必要があります。
プロダクツに関して言うならば、使いもしないような機能がいろいろとあったとしても価値はないです。
むしろ機能を必要最小限とし、シンプルな方が価値を感じる人もいることでしょう。
 
お客さんには、サービスやプロダクツから今までにない体験とその感情を得ることに期待効果があるのです。
 
自社のサービスやプロダクツからどんな体験があって、どんな感情につながるでしょうか?
 
価値とは体験すること、価値とは感じるものなのです。

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Topic 34 安全と安心の大きな違い、消費者は必ずしも論理的な思考や合理的な判断で買い物をしない

「安全で安心な商品を提供します」と、近所のお店で店内放送しています。
 
「安全」と「安心」は、似ているようで、実のところは大きな違いがあります。
「安全」とは客観的な事実に基づくものです。
厳しい法規制や社内検査をクリアしていることやトレーサビリティの提示は客観的な事実です。
一方で、「安心」は、主観的です。
いくら安全であると客観的な事実を示したところで、安心できないときは安心できないのです。
要するに、事実がどうであろうが何となく安心できないと感じることで、安全とされていたとしても念のために購買しないのです。
安心かどうかは、言い換えればリスクを感じるかどうかです。リスクを感じるようなサービスやプロダクツをあえて購買する必要はないでしょう。
 
「安全」であることは、サービスやプロダクツを提供する側の責任において実施されるものです。
「安心」は消費者が感じるものです。「安心」を感じてもらえないと消費者から見放されてしまうのです。
 
「安心」を感じてもらうには、顧客に対する共感(Empathize)から顧客インサイトを理解し、安心してもらうための行為が必要となります。
「安心」は提供するものではなく、感じてもらうものなのです。
 
なお、外部環境の出来事により「安全」なサービスやプロダクツを提供できなくなることがあるのは付け加えておきます。

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Topic 33 スーパーマーケットチェーンと宅配ボックスの組み合わせ

スーパーマーケットチェーンを展開するライフは、宅配ボックスを全店舗に設置するとのことです。
 
この取り組みは、ライフ、利用者、宅配便業者の間でWin-Win-Winの関係となっています。
3者それぞれのニーズに応えています。
・ライフにとっては、来店動機を増やし、業績拡大につなげる。
・利用者にとっては、荷物を受け取るときに自宅に居なくてよく、買い物ついでに荷物を受け取れる。
・宅配業者にとっては、配送時に不在であることのリスクを解消し、ドライバーの業務上の負担を軽減できる。
 
スーパーマーケットチェーンと宅配ボックスの「組み合わせ」です。
何もかもゼロからの発想でなくとも、現存する何かと何かを組み合わせることで、イノベーションを起こす発想は生まれるのです。
デザインとは、問題を解決することです。ライフの取り組みは、3者にとっての問題を解決する方策と見ることができます。
 

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Topic 32 追加的なサービスには、それ相応に対価をもらっていますか?

宅急便の時間帯指定配送ですが、便利なサービスです。このサービスですが無料であることが妥当でしょうか?
ヤマト運輸のドライバーの処遇改善が話題になっています。追加的なサービスであれば有料として、その分をドライバーに還元するのが当然ではないでしょうか。
 
提供するサービスで何が標準サービスで、何がオプションサービスなのか?
オプションサービス、言い換えれば追加的なサービスであれば、その分の代金をもらうのは当然です。
 
代金を頂くことで過剰にサービスを提供することが抑制できます。
健康保険で自己負担があるのは、健康保険証を持っている人が、過剰に医療サービスを受けてしまうことを抑制する意図があるのです。
長年に渡るデフレ経済で、オプションに該当するようなサービスを無料で提供することが当たり前になっていないでしょうか?
 
サービスデザインで欠かせない問いかけです。
何を標準サービスとしますか?
何をオプションサービスとしますか?

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Topic 31 企業会計は、ビジネスモデルの土台

俺のフレンチや俺のイタリアンなど、「俺の〇〇〇」を展開する「俺の株式会社」のホームページにある記載です。
「ミシュラン星付き級の料理人が腕をふるい、高級店の3分の1の価格で提供すること。フード原価率60%超えでも、顧客を1日3回転以上させることで繁盛店の利益を実現すること。」とあります。
 
企業会計からの視点でのメッセージです。
デザインしたビジネスモデルが、収益をあげて持続できないことには意味がないです。
企業会計は、ビジネスモデルの土台となるものです。建物と同じで土台がしっかりとしていないと長持ちはしないです。
 
こんな問いかけに答えることができますでしょうか?
・ステークホルダーに分配ができるだけの利益を確保することが可能なのか?
・事業を継続するのに必要なキャッシュ(運転資金)を確保できる仕組みがあるのか?
・将来のビジネスにつなげる内部留保は確保できるのか?
 
俺のフレンチや俺のイタリアンは、高級レストランの料理をリーズナブルな価格で提供し、多くの人にとってなかなか馴染みがなかった料理を身近な存在にしたことで、食の世界においてイノベーションを起こしていると思うところです。

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Topic 30 ビジネスモデルにブルーオーシャン戦略を適用する3つのアプローチ

前回の投稿で、業界標準や業界常識を基準として、下記の4つのアクションをとることで、差別化の実現が可能となることを紹介しました。
・減らす
・増やす
・取り除く
・付け加える
 
既存のビジネスモデルに対して、3つの視点で、これらのアクションを取ることができます。
これらのアクションを起点にして、ビジネスモデルのリ・デザインを行ないます。
 
・コストからの視点
 自社のリソースは有限です。何にコストをかけるのか、何にコストをかけないのか、  メリハリが必要です。
 コアな業務以外はアウトソーシングして業務を減らす手段があります。
 居酒屋チェーンの塚田農場では自社農場を所有し(付け加え)、高品質な商品を低価格で提供することを実現しています。
 
・価値提案からの視点
 分かりやすい例は、コンセプトカフェ、コンセプトバーです。カフェにしてもバーにしても一義的な価値として「場」の提供があります。それに、プラスして何かを付け加えています。
 蔦屋書店は、書店であるので書籍の販売は当然ですが、それにコンシェルジュによる相談や提案などのサービスを付け加えています。
 
・顧客からの視点
 「オンラインツーオフライン(O2O)」は、インターネット上のウェブコンテンツやSNS(Online)から実在する店舗(Offline)に顧客を誘導する仕組みです。また、「クリック&モルタル」と言うインターネット上の店舗と実店舗を組み合わせたビジネスモデルがあります。これらは、チャネルを付け加えていると言えます。 
 会員制は客層を絞り込み(減らす)、優良顧客の囲い込みを図ります。

参考文献 Business Model Generation

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Topic 29 価値とコストのトレードオフからの脱却

マイケル・ポーターの基本戦略では、付加価値の追求とコストダウンによる価格戦略の2つを示唆していますが、それらの両立を追求したのがブルーオーシャン戦略です。
ブルーオーシャン戦略では、4つのアクションを指し示しています。
 
業界標準や業界常識を基準として
・減らす
・増やす
・取り除く
・付け加える
 
これらのアクションを取ることで、業界のこれまでのやり方の呪縛から解放され、差別化を実現し、業界内でしのぎを削る戦いを回避したビジネスモデルをデザインすることが可能となります。
 
具体的な方策を考えるときに、何をするのか?何で同業者に対して上回るのか?にばかりに気持ちが囚われていませんか?
何をしないのか?あえて何を同業者よりは低い水準とするのか?
この視点があれば、多くのことにコストをかける必要がなくなり、価格戦略においても打つ手の幅が広がります。
即ちは、価値とコストのトレードオフから脱却することが可能となるのです。
 
お客さんはわがままです。あれやこれやと要求してくるでしょう。
その全てに応えていると、結局のところは自社のカラーがぼやけてしまい差別化から遠のくのです。
 
「提供するのが当然」「顧客の要望には応えるべき」に囚われていませんか?
 
参考文献 ブルーオーシャン戦略

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Topic 28 差別化ができていることと、価格競争は全く異質なこと

ゲインの最大化につなげること、ペインの最小化につなげることは、価値提案に欠かせない要素です。
ゲインとは得たいこと、ペインとは無くしたいことです。
 
ゲインの最大化につなげること、ペインの最小化につなげることの具体的な方策を「顧客目線」で見たときに、同業者と比較して違っているように見えますでしょうか?
違っていれば差別化が出来ていると見ることができますし、違っていなければ同質化していることになります。
差別化とは手のひらを返したような方策を講じることです。
同質化してしまっている状況では、消費者はあえて自社のサービスやプロダクツを選ぶ必要はないと言うことです。
同質化が進展した市場が形成されると過当競争となり、やがては価格競争にもつながります。
差別化ができていることと、価格競争は全く異質なものです。
 
QBハウスやLCCは、価格競争をしているのではなく、差別化をしているのです。
QBハウスは、シャンプーや髭剃りなどを行わず、LCCは本来の輸送業務以外のサービスはオプションとし、従来の同業者とはサービスの提供の仕方が異なっています。
理髪店業界にしても旅客機業界にしても、少なからずの人にとって、無くても構わないサービスを提供することが業界標準だったわけです。
その無くても構わないサービスをあえて提供しなくしたことに差別化があるのです。

 

 

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ゲインの最大化につなげること、ペインの最小化につなげることについては、こちらでも述べています。是非ともご参照ください。

nakanomasashi.hateblo.jp

 

 

Topic 27 お客さんの期待を2つに分類して考えてみる

サービスの利用やプロダクツの使用を通じて、お客さんのどんな期待に応えているでしょうか?
 
期待に応えることがお客さんから選ばれる「理由」です。
お客さんの期待は2種類に分類できます。
ゲイン(gain)の最大化とペイン(pain)の最小化です。ゲインとは得たいこと、ペインとは無くしたいことです。
ゲインはポジティブな感情や気持ちにつながることで、ペインはネガティブな感情や気持ちにつながることと言えます。
ゲインの最大化につなげること、ペインの最小化につなげることが、価値提案に欠かせない要素です。
言い換えれば、お客さんから選ばれる「理由」となり得るのです。
 
ゲインとペインはどんなことがあるのか?
アイデアを出す前に、「顧客目線」による検討が必要となります。
 
参考文献 Value Proposition Design

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Topic 26 4つの真実の瞬間

前回の投稿で顧客がどんな状況にあるのか、コンテキスト(context)の理解は時系列の観点が必要と述べました。
ソーシャルメディアが普及した現代では、時系列で「4つの真実の瞬間」があり、顧客の状況が変化すると言われています。
この瞬間に自社のサービスやプロダクツの生死が決まってしまうとも言われます。
購買行動の範疇には、購入前、購入後も含まれるのです。
 
・きっかけ
 消費者が購買行動を起こすときは何かしらのきっかけがあります。
 欲望の感情が生まれる瞬間です。 
 
・0番目の真実の瞬間
 ソーシャルメディアを使用してサービス、プロダクツの情報収集をします。
 口コミの情報は信頼性において高く評価されます。
 自社のホームページやSNSにおいても情報収集します。
 
・1番目の真実の瞬間
 サービスの説明を受けたり、プロダクツを実際に見たりします。
 購買するかどうかの検討を行います。
 
・2番目の真実の瞬間
 サービスの利用、プロダクツの使用を通じて価値を感じます。
 顧客との関係性もここで生まれます。
 
・最後の真実の瞬間
 ソーシャルメディアを通じて、第3者に向けてのレビューが行われます。  
 
この流れからも、情緒的価値に対して、いかにポジティブな感情や気持ちを持ってもらい、良い口コミにつなげるかが重要であると言えます。

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Topic 25 突然の土砂降り

買い物や食事を済ませてお店を出たら、突然の土砂降りだったらどうでしょうか?
どうしようかと途方に暮れてしまいますよね。
 
そんなときにお店から傘を贈呈されると、これ以上に嬉しいことはないです。
筆者はこのような経験が何度かあります。
店の配慮で、そのような事態に備えて傘を常備しているとのことでした。
 
7回目の投稿で紹介した狩野モデルの「Exciter 魅力的、刺激的」にあたるサービスです。
些細なことですが顧客満足度を著しく高めます。
 
情緒的価値は、サービスの利用やプロダクツの使用による感情や気持ちと解釈されますが、サービス業にとっては、サービスの提供をしている正にその時だけではないのです。
お客さんがどんな状況にあるのか、コンテキスト(context)の理解は時系列の観点が必要となります。コンテキストの理解により情緒的価値の向上につながるのです。
 
想像の中で相手の立場に身を置き、その苦しみを自分のことのように感じること。
倫理学者/経済学者アダム・スミスの言葉です。
 

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