イノベーション創出とデザイン思考

ビジネスモデルにイノベーションを起こす

Topic114 会議室で発生する8:2の法則

会議室でのことです。

読者のみなさまが勤めている会社では、声が大きい人の発言が場を占めていませんでしょうか?
多くの場合、きっとそうだと思います。
声の大きい人の発言が場の8割を占めて、声の小さい人の発言が占める割合は2割もしくは、それ以下かも知れません。

対等の立場で発言ができる場づくりが大切です。
声が小さい人の発言の機会を奪うと、さらに声が小さい人の発言が減ってしまいます。
会議を進行するファシリテータの役割りが大切であり、その技量によるところが大きいです。

 

何かと直ぐに結論を求めることも良くないです。
正解が一発で出るなどと思わないことです。

 

議論をするよりは「対話」を尽くすことです。
対等の立場での「対話」の機会を多くつくることです。
決して、無理に結論を求めないことです。
そこからイノベーションの種が生まれます。

 

「対話」の場では、お互いにお互いの発言することをリスペクトします。
人の発言を否定するのは簡単ですが、そこからはイノベーションは生まれてこないです。

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Topic113 どうしてフレームワークではなく、キャンバスと呼ぶのか?

ビジネスモデルキャンバス、バリュープロポジションキャンバスの原著といえば、下記の2冊です。

・バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る
・ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

 

これらの書籍では、フレームワークという言葉は用いられていないです。
少なくとも筆者は見たことがないです。

フレームワークといえばロジカルシンキングですね。
「もれなく、だぶりなく」チェックが出来るので、フレームワークは有用なツールとされています。
確かに、便利なツールとしてビジネスの現場で活用されています。
MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)とも表記されます。
物ごとを分析するには重宝します。

 

では、ビジネスモデルキャンバス、バリュープロポジションキャンバスは、
フレームワークといわないのでしょうか?
パッと見には、フレームワークに見えます。

 

両キャンバスを開発した、アレックス・オスターワルダー氏によれば、
ビジネスモデルデザインには幾つかの段階があり、
チェックリストとして用いることは、その初歩段階に過ぎないのです。

ビジネスモデルにはストーリーがあり、その先にはリ・デザインによる発展があります。
要するにチェックリストとしてだけに用いるツールではないということです。

 

ロジカルシンキングのように分析ツールとして用いることも出来ますので、
そういった意味では、フレームワークとも呼べなくもないですが、
開発者が狙っているところではないのです。

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Topic112 原著に立ち返る

今回は最近の出来事から雑感を述べます。

自分はLEGOⓇSERIOUS PLAYⓇメソッドと教材活用トレーニング修了認定ファシリテーターの資格を持っています。
レゴ社で開発された教育プログラムのメソッドです。
このメソッドでは、市販されていない特殊なブロックを使用します。
そのブロックを使ったワークショップに参加した人や見た人の中には、そのブロックさえあればLEGOⓇSERIOUS PLAYⓇができるように思う人がいます。
あるいは、その真似ごとをです。
残念ながら、そんな表面的なことで何とかなるメソッドではないです。
このメソッドを使いこなすには専門のトレーニングを受けて、最低でも100回の経験が必要とされています。

ブロックが欲しいから手に入れて欲しいと言われても応じることはないです。
そのようなことを言われる方は物事を表面的にしか捉えることができない人でしょう。

それはcopycatでしかない。

このようなことは他でも言えます。
自分はビジネスモデルイノベーション協会の認定コンサルタントです。
認定コンサルタントになるには、それなりのハードルがあります。
コストもかかります。

それなのに何故か?

それは、国内ではビジネスモデルキャンバスやバリュープロポジションキャンバスの原著者に一番近い位置にあるのがビジネスモデルイノベーション協会だからです。
この協会で鍛錬を積んで来たからこそ、実務の現場でも使え、人に教えることも出来ると思っています。

分かった気になって、実は分かっていない。
そんなことにはなりたくないものです。

原著から学ぶことは基本原則です。

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Topic111 デザイン思考は魔法の杖ではない

デザイン思考を試みたが、上手くいかないと聞きます。
何をどうして、上手くいかなかったのか話しを聞くと、目の前の改善するべきことが明確になっていたのだといいます。
その改善するべきことに対して、デザイン思考を適用したのだといいます。

 

きっと、デザイン思考を実施することが目的になっていたのでしょう。
デザイン思考は手段であって、目的ではないです。

 

デザイン思考というのは、目の前にある問題を解決するのではなく、
未知の課題の発見からスタートします。
目の前にある問題を解決したいのであれば、他の方法論を使った方が上手くいきます。
やみくもにデザイン思考を導入すれば良いというわけではないです。

 

恋人か配偶者か、自分にとって大切な人にプレゼントを贈るとしたら、何を贈りますか?

何が欲しい?と聞いて、欲しいといったものを贈りますか?
それとも、相手の立場になって、何を贈れば喜ぶかを考えて、自分なりの贈りものをしますか?

 

「これが欲しい」
「これこそが求めていたもの」
この2つの違いです。

 

デザイン思考は後者となります。
もちろん、どちらが良いというものではないです。
状況によって使い分けをすれば良いということです。

 

ビジネスをするにあたり、お客さんのことを自分ごととして捉えていますか?
他人ごとになっていませんか?

 

共感には2種類あります。
「empathize」「sympathize」です。

 

デザイン思考では「empathize」が必要だといいます。
感情移入して相手の視点になることです。
同情や憐れみとは異なります。それは、自分の視点でしかないです。

 

共感とは、
想像の中で相手の立場に身を置き、
その苦しみを自分のことのように感じること
倫理学者/経済学者アダム・スミス

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Topic110 デザイン思考の核はマインドセットにある

 デザイン思考を実施するときに、プロセスやツール類にばかりに気を取られていませんか?
実は一番大切なのは「心構え」です。

スタンフォード大学のd.schoolが出しているドキュメントでは、デザイン思考における7つの心構えが冒頭に記されています。

・言うのではなく見せる
・人々の価値観に焦点を当てる
・明快な仕事
・素早く形にする
・過程に注意
・行動第一
・徹底的な協働

言わばマインドセットです。
これらはコンピュータに例えるならOSに相当するものです。
OSは言うまでもなく、コンピュータの核をなすべきものです。
だからこそ、d.schoolのドキュメントでは冒頭で記しているのです。

デザイン思考を実施するときは、7つの心構えをチーム内で共通認識しておく必要があります。
マインドセットが出来ずにデザイン思考などと言っても、それはデザイン思考の真似ごとでしかないのです。

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Topic109 知識をいくら積み重ねてもデザイン思考からイノベーションを起こすことはできない

何年も前のことですが、サイバーエージェントの藤田社長がビジネスはコツコツするものだと言われていました。

 

何ごともコツコツと積み重ねなのは同じです。

 

LEGOⓇSERIOUS PLAYⓇというコンサルティング、ファシリテータのメソッドがあります。
このメソッドでは、1人前になるには100回の実践が必要だと言います。

 

デザイン思考は「道具」というより「スキル・マインドセット」と言った方がしっくりとくるでしょう。
デザイン思考のメソッドを活用してイノベーションが起きるかどうかはマインドセットも大きな要因となります。

 

デザイン思考では、如何なる個人よりも全員が正しいと言います。
他の人の発言を論理や常識で否定したり批判したりせず受け入れるマインドが必要なのです。
マインドができていない状態でいくらデザイン思考などと言ってもイノベーションが起きるはずがないです。

 

デザイン思考のスキル・マインドセットを獲得するために、
コツコツと回数を積み重ねます。

 

世の中には情報があふれています。
それらの情報をいくら見たところで理解ができないものは理解できないです。
本当に理解したいなら自分がその世界に飛び込むしかないのです。

 

理論や理屈ではなく、やってみることです。
やってみて、経験を積み重ねて、試行錯誤の繰り返しからノウハウを獲得します。

 

デザイン思考やリーンスタートアップでは、
反省から学ぶのではなく、実験から学ぶのです。

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Topic108 PDCAとデザイン思考の違いはマインドセットにある

イノベーションを起こすにはプロセスが重要となりますが、
それと共にマインドセットの醸成も必要となります。

 

プロセスに注視し、PDCAとデザイン思考のプロセスが酷似していることが指摘されます。
実は、その2つの大きな違いはマインドセットにあります。

 

PDCAでは、計画に注力します。
一方で、デザイン思考、リーンスタートアップでは、ビジネスの計画よりもビジネスの構築に力を入れます。
アジャイル開発では、膨大なドキュメントを作成するよりは、動くプログラムを作成することに力を入れます。

 

また、デザイン思考、リーンスタートアップ、アジャイル開発では、お客さんやお客さんになるかも知れない人のことを知ることに力を入れます。
そのために、行動観察、インタビューを行います。

 

有名なデザイン思考のプロセスにスタンフォード大学から示されているものがあります。
・Empathize 共感
・Define 問題定義
・Ideate アイデア創出
・Prototype プロトタイピング
・Test テスト

Defineですが、問題定義とされますが、「課題定義」とした方がしっくりとくるでしょう。

 

売るべきものは、お客さんにとっての「理想の未来」です。
理想の未来と現状とのギャップを埋めるためにソリューションを提供するのです。
そのギャップが課題となります。

 

そのためには、お客さんやお客さんになるかも知れない人のことをよく知ることです。

 

ユーザの内なるものを洞察するマインドセットが重要なのです。
論理的な思考ばかりではなく、論理の飛躍も受け入れます。
人間は論理的な思考ばかりで行動しておらず、多くの矛盾(ジレンマ)を持っているからです。

 

「良いデザインとはユーザへの深い理解に根差している」のです。

 

PDCAとデザイン思考とではマインドセットに大きな違いがあります。
そのマインドセットこそが重要視されるべきです。

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Topic107 目的、目標、手段を使い分けていますか?

AIやIoTを使って何かをしたいと耳にすることがあります。
AIやIoTを使うことが目的になっています。

ですが、AIやIoTは手段であって目的にはなり得ないです。
AIやIoTでなくても目的を達成できれば、それで良いのです。

 

AIやIoTという前に、手に入れたい理想の未来はどんなことですか?

 

ケネディ大統領は、
「我々は宇宙開発の分野で世界一になる」と演説をされました。
これは、アメリカが手に入れたい理想の未来です。
その理想の未来が目的です。

 

ビジネスでも同じです。
どんなことが手に入れたい理想の未来でしょうか?

 

現状と理想の未来のギャップを埋める手段として、
AIやIoTがあると言うだけです。
ITも然りです。

 

なぜ、AIやIoTをビジネスに取り入れる必要があるのか?
なぜ、IT人財が必要なのか?
「なぜ」の問いかけの答えが目的です。

 

目標は目的を達成できたと言える基準です。
例えば、売上高を〇〇億円にするです。

目的は抽象的で目標は明確で具体的のものです。

 

目的「手料理で喜んでもらいたい」
目標「手料理のレパートリーを10品増やす」
手段「料理教室に通う」

 

デザイン思考では、アイデア創出の前に「共感」と「問題定義」のプロセスがあります。
それは、アイデア創出よりも前に現状と理想の未来とのギャップを明確にする必要があるからです。
アイデアはギャップを埋めるための手段なのです。

 

AIやIoTがバズワードになっているから、何かをしないといけない。
そんな強迫観念に囚われていませんか?

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Topic106 イノベーションを創出するときに、テクノロジーを起点にするのか?お客さんを起点にするのか?

書籍「デザインの次にくるもの」では、イノベーションを2つの基準で分類しています。

 

革新性の度合い
発生要因

 

革新性の度合いとは、次の2つです。

急進的なイノベーション
漸進的なイノベーション

 

革新性の度合いは、こんな言い方もできます。

レボリューション 革新的
エボリューション 進化

 

発生要因とは、次の2つです。

マーケット・プル
テクノロジー・プッシュ

 

とかく、イノベーションと言えば、革新的なイノベーションに目が行きやすいです。
IoT、人工頭脳、自動運転、ドローンなどなど
これらは、テクノロジーを起点にした「テクノロジー・プッシュ」に分類されます。
今どきのイノベーションはIT無しでは語れない状況です。

 

一方で、そればかりとも言えないです。
IDEO社やスタンフォード大学が提唱するメソッドでは、お客さんに出来るだけ接近し、そのお客さんに共感することでイノベーションを促進します。
行動観察のような手法でお客さんのありのままの実態を知ることが起点となります。
お客さんに出来るだけ接近し、そこから得られた情報をイノベーションの源泉とします。
このようなイノベーションは「マーケット・プル」に分類されます。
テクノロジー・プッシュと対照的に緩やかな、漸進的なイノベーションになりやすいです。

 

このようにイノベーションにはパターンがあります。
デザイン思考からイノベーションが生まれないとするのは、このようなパターンを理解していないからではないでしょうか。

 

書籍「バリュープロポジションデザイン」では、テクノロジー・プッシュによるアプローチが紹介されています。
お客さんの仕事、ペイン、ゲインに対応する価値提案につながるような発明、イノベーション、技術的なリソースから始めるとあります。
テクノロジー・プッシュと言ってもお客さんに出来るだけ接近するということは変わらないということです。

 

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Topic105 ビジネスを成功に導くには3つの視点が必要

「鳥の目」「虫の目」「魚の目」がビジネスには必要です。

「鳥の目」とは高いところから全体を見渡す視点
「虫の目」とは低いところから細部に至る視点
「魚の目」とは未来を見通す視点

ビジネスモデルキャンバスは事業全体の価値を見渡す「鳥の目」
バリュープロポジションキャンバスは顧客の価値を洞察する「虫の目」
の役割を果たします。

さらに「魚の目」の役割を果たすのが、
シナリオプランニングです。

未来がどうなるかを当てるなんてできますか?
そうではなく、未来がどうなり得るのかを理解するのです。
自社のビジネスに大きなインパクトを与えることはどんなことか?
何年かの後に起こりうる未来に備えることです。

それがシナリオプランニングの役目です。

実在の魚が遠くまで見えているかどうかは、さて置いて下さい。

「鳥の目」と「虫の目」はマクロとミクロにお置き換えることもできます。

経済学にはマクロ経済学とミクロ経済学があります。

マクロ経済学は国全体を対象とします。
ミクロ経済学は個人やひとつの企業を対象とします。

ビジネスをしていれば、国全体としての経済の動向を捉える必要もあります。

そのときは、
国全体を「鳥の目」、自社全体を「虫の目」で捉えるのです。

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Topic104 否定や拒否からはイノベーションは生まれない。所属している組織では共通言語を持っていますか?

人は十人十色です。
多様な人たちの知見が集まることがイノベーションを生むことにつながります。
自分と考え方や価値観が違うからと言って否定するのではないのです。
むしろ、それを受け入れて、もっと素晴らしい発想につながらないかと便乗してしまうのです。

 

人の意見を「確かにそう言う考え方もあるよね」とか言って、拒んでいませんか?
顧客の課題を出しているときに「そんな課題を出してアイデア出せるの?」とか言って、拒んでいませんか?

 

何とかして現状を打破したい。
何とかして新しい企画を生み出したい。
とか、思いつつも、それを阻んでいるのは自分自身かも知れないのです。

 

否定や拒否からはイノベーションは生まれません。
人の意見や考えを受け入れる姿勢が必要なのです。

とは言え、バックボーンや価値観が違えば、同じ土俵に立つのは難しいものです。

 

そこで、共通言語を持つのです。
デザイン思考やリーンスタートアップは共通言語を提供します。

 

ビジネスモデルキャンバスのようなツールを使って、ビジュアルによって発想を共有するのです。
文字や数字やグラフではなく。

 

今や価値は共創する時代です。
あなたが所属している組織では共通言語を持っていますか?

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Topic103 ビジネスで振り返りをするときは「Who」ではなく「Why」の視点を持つ

国内において「PDCA」はしっかりと浸透しています。

P:plan
D:do
C:check
A:action

 

「C:check」でどんなことが行われているでしょうか?

 

上手く行かなかったのは誰のせい?
になっていませんか?
そこに特定の個人に対して否定するようなメッセージがありませんか?
「Who」の視点です。

 

誰のせい?などと個人の責任を追及するような組織では、
イノベーションはおきません。
イノベーションを起こすにはチームの力が必要だからです。

 

様々なバックボーンを持つ人が集まり、
様々な知見が混じり合うからこそイノベーションが生まれるのです。
発明は1人で起こせてもイノベーションは1人では起こせないです。

 

そこで、振り返りを行うときは、
「Who」ではなく「Why」の視点を持ちます。

 

なぜ?の問いかけを優先します。
なぜ、思うように結果を出せなかったのか?
人ではないのです。

 

デザイン思考では振り返りを行うときに「フィードバックマップ」を使用します。

「フィードバックマップ」は4つの要素で構成されています。
・良いと思った
・こうだったらいいのに
・もう少し説明が欲しい
・刺激的に感じたアイデア

 

そこには、改善を促すメッセージはありますが、否定するようなメッセージはないのです。

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Topic102 人の言動や気持ちには矛盾があるもの、その矛盾にこそニーズのヒントがある

人の言動や気持ちは論理だけで推し量れるものではないです。
論理では、はかり知れない言動や気持ちの変化があるものです。
そこには矛盾が生じます。
矛盾のことをジレンマともいいます。

 

そろそろ結婚を考えている女性を例にします。

「彼氏の気持ちをしっかりと捕まえて離したくない」
「彼氏は本当に運命の人だろうか?」

こんなジレンマを抱えているのもです。
何やらモヤモヤした気持ちに、ニーズがあります。

 

モヤモヤした気持ちを何とかしたいのです。
その何とかしたいが、その人にとっての課題です。

 

別の例を挙げます。

親の立場にある人にアンケート調査をすれば、子供には身体に良いものを食べさせたいと答えるでしょう。
でも、その家庭の食卓には身体に良いと言えるものばかりが並んでいるとは限らないです。
これもジレンマです。

 

言葉通りに、なかなか行動が伴わない。
それを何とかしたい。その人にとっての課題です。

 

デザイン思考では共感マップというツールを使用します。
共感マップにお客さんの日常を記録します。

 

その記録から、どんなジレンマを発見できるでしょうか?

よくよく観察して、お客さんのことを知ることがニーズを見つける第一歩となります。

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Topic101 デジタルカメラがフィルムカメラの市場を駆逐した理由は何か?

デジタルカメラが登場したばかりの頃は、写真の出来栄えにおいてフィルムカメラに遠く及ばないと軽視する風潮がありました。
その後のデジタルカメラの技術の進歩で写真の解像度は飛躍的に向上しました。

 

デジタルカメラが普及したのは、写真の出来栄えによることばかりでしょうか?

 

そうではなさそうです。

 

デジタルカメラは現像、プリントと言う手間が無く、その場で楽しむことができます。
コストをかけることなく何枚でもコピーが可能です。
また、さまざまな写真アプリの登場で上質な写真を撮ることも可能です。
さらに、フェイスブックやインスタグラムのようなSNSと組み合わせて楽しむことも容易にできます。
このように写真の楽しみ方の幅を広げたのは間違いないことです。

 

要するに、そこにはフィルムカメラではあり得なかった体験価値があります。

 

かつて、現像やプリントは「普通」なことでした。
現像やプリントのために写真屋に行くことは、無駄な行為でしかないのです。
「普通」を見直すことがデザイン思考の根源的な考え方にあります。

 

デザイン思考からはイノベーションが生まれないと聞くことがあります。
それって、声を大にするような論点でしょうか?

 

そもそもイノベーションとは、「普通」を「普通でなくす」「常識外」を「常識」にすることです。

「普通」や「常識」を疑い、経験をデザインする視点が持てるかどうかを論点にするべきです。
どのようなメソッドを取り入れようとも同じことです。

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Topic100 ビジネスモデルの出発点は顧客の課題にある

ビジネスモデルキャンバスを発案されたアレックス・オスターワルダー氏によれば、製品と市場のフィットはレベルゼロと位置づけています。
レベルゼロと言うのは、ビジネスモデルを考える以前の段階です。
さらに、リーンスタートアップによれば、製品と市場のフィット以前の段階として、課題と解決フィットがあります。
リーンスタートアップの第1ステージが課題と解決フィット、第2ステージが製品と市場のフィットと言うことです。

 

ビジネスモデルキャンバスと一緒に使用すると有効なツールにバリュープロポジションキャンバスがあります。
バリュープロポジションキャンバスでは顧客のことを深く洞察します。
バリュープロポジションキャンバスはビジネスモデルキャンバスの価値提案と顧客セグメントにフォーカスをあてたツールです。

 

ビジネスモデルキャンバスであろうが、リーンスタートアップで登場するリーンキャンバスであろうが、その出発点は顧客の課題にあることは同じです。

 

イノベーションと発明の違いが何であるのか?
それは、次の問いかけで答えることができます。

世の中の課題克服に貢献しているのか?
世の中の進歩に貢献しているのか?

どんなに新規性がある発明でも、世の中のために貢献できていないのであればイノベーションにはなり得ないのです。

 

自社の新製品や新サービスはどんな顧客のどんな課題克服に貢献しますか?

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