イノベーション創出とデザイン思考

ビジネスモデルにイノベーションを起こす

Topic 53 ビジネスモデルを知ることの意味、彼を知り己を知れば百戦殆うからず

ビジネスモデルが存在しないビジネスは存在しないです。どんなビジネスにもビジネスモデルはあります。

ビジネスモデルとは?の問いに対する答えは、いろいろとありますが、
筆者が問われたときは、「顧客にとっての価値を提供し、企業が利益を獲得する仕組み」と答えます。
経営戦略をどう具現化するのかがビジネスモデルです。
経営戦略を支えるのがビジネスモデルです。
ビジネスモデルを知ると言うのは、客観的にビジネスを知ると言うことでもあります。
 
3C分析と言われるフレームワークがあります。下記の項目に着目して現状を把握しようとするフレームワークです。
・Customer 顧客
・Competitor 競合
・Company 自社
 
次の3つの問いかけに客観的な視点で答えます。
・誰が自社の顧客なのか?
・競合他社の脅威はどの程度なのか?
・それに対して自社は勝てるのか?
 
「顧客の理解」「競合の理解」「自社の理解」は、ビジネスにおいて、極めて基本的なことです。
競合他社のビジネスモデルと自社のビジネスモデルの理解をしない状態で厳しいビジネスの環境で戦えるはずがないと言うことです。

「競合の理解」とは敵の戦い方を知るということです。敵の戦い方を知らずして、どのようにして戦えれば良いのでしょうか?

 
分析的なアプローチで新しい価値の創造は困難であるでしょう。だからこそ、デザイン思考が注目されているのです。
では、分析的なアプローチは意味がないものでしょうか?
そんなことはないです。
3C分析のようなフレームワークは客観的に現状把握をするためのチェックリストとしては有用であることには変わりないです。
フレームワークはロジカルシンキングで言うところのMECE(漏れなく、だぶりなく)とするものです。
このようなツールも適宜取り入れることは、デザイン思考でも有効であり、デザイン思考とロジカルシンキングは対立軸にはないと言うことです。
 
ビジネスモデルの全体像を俯瞰するには、ビジネスモデルキャンバスが有用です。
9つの項目に当てはめて、その項目間の相互関係を検証することでビジネスモデルを理解します。

競合他社のことも自社のことも同じビジネスモデルキャンバスに表現することで、比較検討することが容易となるメリットもあります。

 
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」 孫子
 

経営戦略の策定は、外部環境と内部環境の分析から始まります。外部環境と内部環境の分析ではSWOT分析が有名ですね。外部環境分析ではPEST分析が有名です。

外部環境の変化では、政治動向、マクロ経済的な動向、ライフスタイルや流行、新しいテクノロジーの登場などが企業経営にインパクトを与えます。これらの動向は戦略レベルでは、当然に検討されるべきものです。

一方で、ミクロな視点も必要となります。それが、先ほど述べた「顧客の理解」「競合の理解」「自社の理解」です。「競合の理解」「自社の理解」は先述したビジネスモデルキャンバスが強力なツールとなります。

 

2つの視点が必要ということになるのです。

・外部環境と内部環境の視点

・マクロとミクロの視点

  

ビジネスモデルとは経営戦略を実現するための具体的な手段です。経営戦略を支えるのがビジネスモデルです。言い換えれば、経営戦略を実現可能とする裏付けであります。

競合他社の経営戦略にはどんな裏付けがあるのでしょうか?

自社の経営戦略にはどんな裏付けが存在し得るのでしょうか?

 

また、「顧客の理解」ではペルソナマーケティングが強力な手法となります。

ペルソナとは顧客ターゲットのうち、最も重要で象徴的な顧客モデルのことです。顧客モデルを設定することで、お客さんやお客さんになるかも知れない人の本音に迫るのです。

 

「自社の理解」は最後です。

自社のことばかりに気持ちや力が偏っていませんか?

自社で何かを始めるまえに、「顧客の理解」や「競合の理解」からです。

市場が魅力的で、競合他社に対抗し得るだけの裏付けが確認できるなら、新ビジネスの開始です。

 

参考文献

グロービスMBAファイナンス

グロービスMBA経営戦略

ビジネスモデルの教科書 今枝昌宏()

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