Topic 60 ビジネスモデルを知ることの意味、ビジネスにも「型」がある
ビジネスモデルが存在しないビジネスは存在しないです。どんなビジネスにもビジネスモデルはあります。
ビジネスモデルとは?の問いに対する答えは、いろいろとありますが、
筆者が問われたときは、「顧客にとっての価値を提供し、企業が利益を獲得する仕組み」と答えます。
それぞれの企業に、それぞれのビジネスモデルがあります。
それらのビジネスモデルを抽象化して分類することが可能なのです。
例えば、フリーミアムです。基本的な機能は無料で提供して、より利便性が高いような機能は有料で提供するビジネスモデルです。
ゲームアプリではすっかりお馴染みですね。
ビジネスのアプリケーションでも、ドロップボックスがそうです。ビジネスで活用されている方も多いことでしょう。
まずは、より多くの人に利用してもらって、その商品の素晴らしさを体験してもらってから、お金をもらうビジネスモデルです。
このように、それぞれの企業レベルで見れば、違っているように見えるビジネスモデルでも、抽象度を上げて、類型化することで、同じビジネスモデルと見ることができるのです。
要するに、似たり寄ったりのビジネスをしている企業がたくさんあるということです。
言い換えれば、ビジネスモデルは模倣が可能ということなのです。
今枝昌宏氏が著した「ビジネスモデルの教科書」では、ビジネスモデルを将棋や囲碁の攻撃パターンや防御のパターンとなる定石になぞらえています。
アイデアとは全く無の状態から生まれることはまれです。新しいアイデアは既に存在するアイデアの組み合わせで生まれることが多いのです。
イノベーションは組み合わせだと、となえる方も居られます。筆者もその通りだと思います。
ビジネスモデルという概念があることで、成功した企業のビジネスを模倣することが可能となるのです。
なので、ビジネスモデルを知ることには意味があるのです。
日本古来の武道の考え方に「守破離(しゅはり)」があります。これは、師匠と弟子との関係を表現するものです。弟子には、それぞれにスキルのレベルがあります。
「守」とは、師匠に言われた型通りにする
「破」とは、自分流により良いと思う型を生み出す
「離」とは、師匠から離れて自由となる、自分の流派をつくれるレベル
最初は師匠に言われたことを確実に再現することからです。
これは、ビジネスの世界でも応用することができます。
それは、ビジネスモデルという概念があるからです。
まずは、ビジネスの「型」であるビジネスモデルを知ることからのスタートです。
その「型」を知ってからのイノベーションの発想です。
アマゾンのビジネスを模倣するのではなく、プラットフォームビジネスで何か面白いことができないかと発想するのです。
先ほど述べたフリーミアムもプラットフォームビジネスもビジネスモデルのほんの一例に過ぎません。
幸いなことに、ビジネスモデルの類型化は幾多の方々でなされています。それを活用して、どんなビジネスモデルが存在するのかを知ることができるのです。書店に行けば、その手の本を簡単に手にすることができます。
ビジネスモデルのことを語ると後付けだからと批判されることがあります。結果的にそのように類型化をしているのであって、理屈ではそうなるかも知れないけど、新しいビジネスのアイデアには使えるの?との疑問です。
このような発想になるのは、何もかもオリジナリティあるビジネスにしないといけないとの先入観があるからではないかと感じます。
「ビジネスモデルを既存の具体的なビジネスを抽象化した概念」とするならば、当然に後から出てくるものでしょう。企業それぞれのビジネスの本質的な部分を抽出して抽象化するのですから、当然に後からになります。
だからと言って無意味なものとなるのでしょうか?
抽象化した概念としてのビジネスモデルが整理されているからこそ、成功した企業のビジネスモデルを模倣することができるのです。
これは、あくまでも出発点です。「守破離」の「守」です。そこからどう発展するかが経営者の力量となるのです。あるいは、企業支援者であるコンサルタントの力量でもあります。
テレビのビジネスモデルはラジオのビジネスモデルの模倣そのものです。
ビジネスモデルを知ることの意味については、こちらでも述べています。ご参照を頂ければと思います。