イノベーション創出とデザイン思考

ビジネスモデルにイノベーションを起こす

Topic 49 寿司屋のビジネスモデル、寿司屋はどうしてランチも営業するのか?

前回の投稿に続いて、寿司屋を題材にして述べたいと思います。
 
寿司屋は言うまでもないですが、生鮮食品を取り扱っています。
鮮度や上品な味わい、ネタの色合いなどが重要であることは述べるまでもないと思います。となれば、当然に仕入れた食材を使える期間は短くなり廃棄ロスのリスクを抱えることになります。
そこで、ランチ営業もして廃棄ロスのリスクを回避しているのです。
 
廃棄ロスのリスクを回避する手段があるとすれば、夜の営業の終了間際までネタを揃えておくことによる廃棄ロスのリスクを感じることを軽減できます。
さらに言えば、店舗のテナント料はランチの営業をしても、しなくても同じです。であれば、ランチも営業した方が効率が良いと言うことになります。
一方で、お客さんの立場とすれば、閉店時間に近い時間帯に寿司屋に入っても自分が好きなネタを選ぶことができる体験価値を享受することができるのです。
なので、ランチも営業することで、お客さんと寿司屋との相互で利益を共有できることになります。
 
寿司屋に限らず、ケーキ屋やパン屋などの食品を取り扱う店舗では、在庫が少ないと何故か売れ残りに見えてしまって魅力を感じなくなるのです。これは、客足を遠のけることにつながります。
同じ商品であっても価値が違うように判断するのです。人間は必ずしも合理的な判断によって行動をしていないと言うことです。
かと言って、閉店間際まで品揃えを良くすると廃棄ロスとのジレンマが生じます。
なので、閉店間際に商品をたたき売りしたり、ダンピングするなどの対応に迫られるのです。
 
寿司屋によっては、オーナーの理念でランチを営業しないとしている店もあります。夜の営業に注力したいとの思いをお持ちの方も居られます。
オーナーの考え方次第です。
ランチも営業することとお客さんの立場になっているかどうかは、全く別問題であることを付け加えておきます。
筆者が利用している寿司屋はランチ営業はしていませんが、閉店間際でもネタの品揃えは良いです。
お客さんに共感(Empathize)して、お客さんの立場でサービスを提供することとサービスを提供する側の理念は相反するものではなく、そこはやり方次第ということなのです。
 
前回投稿した記事はこちらです。廃棄ロスと機会ロスについて述べています。
http://nakanomasashi.hateblo.jp/entry/2017/08/14/082052

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