イノベーション創出とデザイン思考

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Topic 48 廃棄ロスと機会ロス 目先の廃棄ロスを避けようとするばかりに大きな機会ロスを生じている

閉店時間に近い時間帯に寿司屋に入ったところ、ネタが残り少なかったとしたらどうでしょうか?
がっかりしますよね。それとも閉店時間に近いし仕方ないとしますか?
 
寿司屋は言うまでもないですが、生鮮食品を取り扱っています。
今日売れ残った食材は明日の営業では使えない可能性があります。となれば、売れ残った食材は廃棄するしかなく、廃棄ロスとなるかもしれないと言うことです。
この廃棄ロスを回避するために、来店客の見込み数に応じて仕入れるとすれば当然に閉店近い時間帯となればネタは残り少なくなります。
そんな状況で来店したお客さんの立場となれば、売れ残りのネタを食べさせられているように気持ちになるでしょう。
 
ここでのポイントは、人は得られる満足より失う苦痛の方を大きく感じるということです。
行動経済学での損失回避性と言われる現象です。
お客さんに、損したような気持ちにさせたとすれば、それは想像以上に大きく損した気持ちになっているということです。
一方、寿司屋のオーナーとすれば廃棄ロスを出すと大きく損失したような気持ちとなって、それを回避しようとします。
お客さんと寿司屋とで利益が相反することになります。
 
ここで考えたいのは、損した気分にさせてしまったお客さんは、2度とリピートはしないと言うことです。
さらに言えば、悪い口コミは良い口コミの何倍も広がると言うことです。
寿司屋としては、その機会ロスは計り知れないものになります。
 
筆者が利用する寿司屋は地域でも人気店で出前の注文が多いです。
ですが、あまり出前注文を受けると来店してくれたお客さんのネタが無くなってしまうので、ほどほどのところで出前を断っています。
来店してくれるお客さんを大切にしたい気持ちなのです。
 
これは、バイキング料理でも同じです。
終了時刻に近い時間帯においても、人気メニューも含めテーブルいっぱいに料理がある店こそが、お客さんの立場になっている一流のお店なのです。
 
来店するまでにも、お客さんはコスト(お金・時間・手間)をかけているのです。
成功している飲食店のオーナーは、本能的にお客さんに共感(Empathize)しているのではないかと感じるところです。
価値とは体験すること、価値とは感じるものなのです。
寿司屋にしてもバイキングにしても好きな食べ物を好きなだけ選べることに体験価値があるのです。
 
価値に関してはこちらでも述べています。
http://nakanomasashi.hateblo.jp/entry/2017/08/01/083346

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