イノベーション創出とデザイン思考

ビジネスモデルにイノベーションを起こす

Topic70 新商品開発における2つのリスク、新商品に関するリスクとプロジェクトに関するリスク

新商品を開発するにあたりリスクとなることは、大きく2つに分類することができます。

 

・新たに開発するプロダクツやサービスに関すること
・新商品開発プロジェクトの進行に関すること

 

リスクとは、不確実性という意味です。
日常生活において、リスクと言えば、何か悪いことが起こりうる可能性の意味と捉えることが一般的ですが、ビジネスにおいてのリスクとは、振れ幅が大きくて安定していないことを言います。

 

・どんなプロダクツやサービスを開発すれば良いのか?
・どのようにプロジェクトを進行すれば良いのか?

 

その最適解がなかなか定まらないのです。
とり得る最適解の振れ幅が大きいがために、当初の見積もりを大幅にオーバーして、結果的にコストアップとなるのです。
システム開発においては、このようなことは日常茶飯事であり、筆者が知る限りでは少なくとも国内においては約30年間は、このようなことを繰り返しています。

 

国内の多くのシステム開発プロジェクトではウォーターフォールと言われる開発手法が取り入れられています。
ウォーターフォールとは、文字どおり水が高いところから低いところに流れるが如く、直線的に開発を進める手法です。
始めに要件定義を行います。要件定義では、何を目的にして何を開発するのかを定めます。
さらに並行して見積もりも実施します。いつまでにどれだけのコストをかけるかです。

 

ウォーターフォールは、開発当初に要件定義と見積もりが限りなく完成度が高くできるなら上手くいくでしょう。
ところが、そうはならないのが現実です。

 

どんなプロダクツやサービスを開発するのかが不確実なままで、見切り発車されてしまう、あるいは見切り発車をせざるを得ないことが日常的なのです。
要するに、プロジェクト開始の当初からウォーターフォールでなり得てないのです。
ウォーターフォールが人間的ではないのは、プロジェクト開始の当初で決めるべきことを決めてしまうことが前提であることにあります。
その前提こそが人間的ではないことのゆえんです。

 

ウォーターフォールは政治的な要因でも阻まれます。
スケジュールどおりに開発が進んでいると見せると言う思惑です。
実質的に要件定義が終わってなくとも、要件定義が終わっていることにして、肝心なところを先送りにしてしまうのです。
要件定義を実施する担当者のマインドにも依存します。
要件定義で決めるべきことを次の工程以降で決めれば良いとしてしまう風潮が生まれることは珍しくないです。

 

どうやって開発を進めるのか?
具体的にどうやって開発するのかは、要件定義の次の工程となる設計工程で検討されます。
要件定義で何を目的にして何を開発するのかも定まらないうちに設計工程に入ってしまうことが、いかに危ういかは言わずと知れたことです。
なので、システム開発の現場では様々な悲劇が起きている現実があります。

 

そこで、注目を集めているのがアジャイルです。
アジャイルは、ウォーターフォールのように直線的にプロジェクトを進めることはしないのです。
前述した2つのリクスに対しての学習を繰り返しながらプロジェクトを進めます。
ウォーターフォールによるところの非人間的なアプローチを排除する試みなのです。

 

学習をする機会を繰り返し持つことが、最も有効なリスクヘッジとなると言うことです。
いくらお客さんと打ち合わせを重ねたところで、当のお客さんにしても何が欲しいのか分からないのです。
お客さんと一緒に学習することが求められることが前提にあります。
お客さんに答えを求めても答えは出てこないとする考え方は、デザイン思考と同じ思想に立脚しています。

 

何を目的にして何を開発するのかを決めることの優先順位が高いのは、アジャイルにおいても同じことです。
ただ、その全てにおいて、最初に決めてしまうことを前提としないことがウォーターフォールとは異なるのです。
このような考え方は、システム開発に限らず、プロダクツやサービスの開発においても適用が可能とするのがデザイン思考です。

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