イノベーション創出とデザイン思考

ビジネスモデルにイノベーションを起こす

Topic 67 どんなUVP(Unique Value Proposition・独自の価値提案)を提供していますか?それには注目されるだけの理由が必要

自社が競争優位を獲得するには、下記の条件を満たす必要があると言われています。

 

重要性:顧客にとっての高付加価値のベネフィットを提供すること
独自性:競合ブランドは存在せず、自社ならではのベネフィットを提供すること
優越性:同じベネフィットを提供する競合ブランドがあろうとも、他社より優れていること
伝達性:顧客にとって目に見えるように見える化されていること
防御性:模倣困難性が高いこと、高い参入障壁があること
支払可能性:顧客にとって支払い可能な価格設定であること
収益性:ビジネスの継続に必要な収益を確保できること

 

その中でも、「独自性」がUVPにあたるところであろうが、単に「独自性」があれば良いと言うわけではないです。
「重要性」「優越性」「伝達性」「支払可能性」がないことには注目はされないでしょう。
さらに、ビジネスの継続においては「防御性」「収益性」があることも必要となります。

 

お客さんやお客さんになるかも知れない人の立場となって、どんなポジショニングをとるかは、ベネフィットと価格の2軸で捉えることができます。
ベネフィットとは、体験価値と言えます。
どんな望ましい未来を体験として提供し、それに対してどれだけの対価を頂きますか?
お得感は、ベネフィットが価格を上回っているときに感じるものです。
価格をどのように設定するのかが、いかに重要であるかは言わずもがなです。

 

ベネフィットと価格はトレードオフの関係でもあります。
多くのベネフィットを低価格で提供して、ビジネスの継続が可能かどうかは十分な検討が必要です。
ベネフィットは上質であることと読み替えても良いです。
高品質な価値を提供するには、それなりのコストが必要となることが多いです。
そのコストを回収するためには、必然的に高価格となると言うことです。

 

ベネフィットで攻めるのか?価格で攻めるのか?
トレードオフの関係にあることの両方を求めると「二兎を追う者は一兎をも得ず」になりかねないのです。

 

例えば、100円均一ショップのように、リーズナブルな価格で提供される商品で済ませてしまって良い場面もあります。
100円均一ショップで提供される品質水準でこと足りることもあります。
なので、少ないベネフィットで安価なポジショニングでもビジネスとして成り立つのです。

 

お客さんやお客さんになるかも知れない人にとってのニーズの本質を知るには、どんな状況にあるのか、コンテキスト(context)を知ることも必要ってことです。
同じ人でもコンテキストによって、ニーズが変化するのです。

 

必要最低限の価値を提供して、安価な価格で商品を提供していることがあります。
いわゆるブルーオーシャン戦略です。
ブルーオーシャン戦略はコストダウンと顧客価値の両立を実現しています。

 

LCCやQBハウスです。
LCCであれば、目的地にまで移動ができること。
QBハウスであれば、短時間に整髪ができること。

このように必要最低限のことが価値として提供されて、その代わりに安価であれば、十分なベネフィットを感じる人もいるのです。
ベネフィットと価格のようにトレードオフの関係にあることでも、やり方次第では両立が可能ということです。

 

その一方で、高価であっても、何から何まで行き届いたフルサービスを求める人もいます。
世の中の人は一様に価値を関じるわけではないのです。

 

競合他社と同等のベネフィットを提供しながらも安価であれば、価格競争では優位となるでしょう。
ですが、安価とする必要があるかどうかはよくよく検討するべきです。
安価であれば、集客力が高まるかどうかは、顧客セグメントをどこに定めるかにもよります。

 

どんなコンテキストにある人をねらうのか?
どんな価値観を持った人をねらうのか?

 

ベネフィットと価格を2軸とした場合に、どこにポジショニングをするのかの答えを導くときの問いかけとなります。

 

ポジショニングとは、お客さんやお客さんになるかも知れない人からどのように見えるかです。
自社として、ここにポジショニングがあるといくら言ったところで、外から見て、そのように見えなければ何の意味もないのです。
注目されるには、外から見て、どのように見えるかどうかが重要なのです。

同業他社と比較して異なっているように見えないことには、独自性があるとは言えないのです。注目されるだけの理由もないのです。

 

自社のことばかりで、外からの視点が足りてないことはないでしょうか?


参考文献 コトラー、アームストロング、恩藏のマーケティング原理 実践リーンスタートアップ

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