イノベーション創出とデザイン思考

ビジネスモデルにイノベーションを起こす

Topic 14 QBハウスは単なる価格競争をしているわけではない

QBハウスは、日常の中のすき間時間にコストをかけず、整髪をしたい人にターゲットを絞って、潜在的な需要を掘り起こすことに成功しています。
一般的な理髪店が提供しているサービスの全てを提供するのではなく、ヘアカットのみに絞ることで税抜き1000円を実現しています。
このように本来セットで提供しているサービスのある部分のみをサービスとして提供するビジネスモデルのことを「アンバンドリング」と言います。
その分、自社の活動範囲が限定的となるのでコストが削減できます。LCCのビジネスモデルもこれにあたります。
 
また、エアーウォッシャーという水を使わない設備で髪くずを取り払うので、髪を濡らさずに済み、整髪にかかる時間を大幅に短縮することを実現しています。
それまでにない打つ手を出したQBハウスは正しく差別化していると言えます。
さらに、シャンプー・ヘアートリートメントをしないので、水回りの設備を必要としないのです。
水回りの設備がないということは、初期投資にかかるキャッシュアウトを大幅に小さくすることができるので、低コストでのサービス提供が可能となります。
QBハウスは、コモディティ化が進んでいる理髪店業界において、新たな市場を創造しています。
このようなビジネスのやり方をブルーオーシャン戦略と言います。
ブルーオーシャン戦略には、差別化と低コスト化を両立して、利益の獲得に結びつけることにも特徴があります。
 
多くの人に整髪に対してコスト(お金、時間、手間)をかけたくないというニーズがあると言うのは、言い換えれば、不本意ながらも必要以上にコストをかけざるを得ないと、多くの人が不満に思っていたと言うことです。
 
このように理髪店を利用する人が不満に思っていることに気がつくには、理髪店を利用する人に対して、Empathize(共感)する必要があるのです。

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