イノベーション創出とデザイン思考

ビジネスモデルにイノベーションを起こす

Topic97 設計なんてしている時間があったらプログラムを書いた方が速くことが進む

「デザイン思考やリーンスタートアップでは、プロトタイピングをして、いち早くかたちにする」
このようなことを話すと、設計なんてしている時間があったらプログラムを書いた方が速いし、そんなものだよと言われることがあります。
それは、ウォーターフォールでの設計工程を省いているだけで、ウォーターフォールには変わりないのでは?

 

ウォーターフォールとは、文字通り、水が高いところから低いところに流れるが如く、要件定義から商品リリースまで一気に進める開発手法です。
ウォーターフォールの特徴として、要件定義と商品リリースの間にある開発やテストの工程で顧客のことを学ぶ機会がないことが挙げられます。

 

プロトタイピングを行う目的は、顧客が求めてもいないプロダクトやサービスを開発してしまうリスクを回避することにあります。
それは、顧客のことを学ぶ機会を持つことです。

 

行き着くところは、顧客が抱える課題が自分ごとになっているかどうかです。
課題を自分ごとにすることが、課題の質を高めることになります。

 

そのために、デザイン思考では共感(empathize)を最初に行います。

共感には2種類あります。
「empathize」と「sympathize」です。
「empathize」とは、実体験の有無に関わらず、想像の中で相手に歩み寄る行為です。
「sympathize」とは、実体験から相手に同調する行為です。

顧客は自分とは違う境遇にいるのですから、「empathize」となるのです。
当然と言えば当然です。

 

いくらプロダクトやサービスの開発を速めたところで、顧客のことを学ぶ機会を増やさないことには、従来のウォーターフォールとなんら変わらないです。
ウォーターフォールに対比する言葉にアジャイル開発があります。
アジャイル開発では、顧客も巻き込んで開発を進めます。
それは、顧客のことを学ぶ機会を増やすためでもあります。

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