Topic74 ミルクシェイクを購入する理由は何か?ミルクシェイクはニーズではなく、ニーズを満たすための手段
イノベーション理論で有名なクリステンセン氏は、ミルクシェイクの売り上げを拡大するにはどうしたらいいのかの相談を受けたことがあるとのことです。
そこで、どんな状況でミルクシェイクを購入する人が多いかと行動観察をすることにしました。
すると、1人で来店してミルクシェイクのみを購入し、しかも自動車の利用者が多いことに気が付きました。
どうして、そのような人がミルクシェイクを購入する必要があるのでしょうか?
それは、自動車で通勤するのは退屈なことであるので、運転中の退屈しのぎには、ミルクシェイクが持って来いの商品だったのです。
例えば、ドーナツであれば手がべたつきます。バナナだとあっという間に無くなってしまいます。これでは、運転中の退屈しのぎには向かないです。
ほどよく長持ちして、運転しながらでも飲みやすいのがミルクシェイクだったのです。
この事例では、ニーズの本質を知るには、購入する人がどんな状況にあるのか、コンテキスト(context)を知ることが必要なことが分かります。
その状況に応じて、共感「Empathize」をするのです。「Empathize」とは、より能動的に相手のことを思うことです。
この話しのポイントは、ミルクシェイクがニーズではないと言うことです。
「運転中の退屈しのぎ」がニーズなのです。
「運転中の退屈しのぎ」に適したミルクシェイク、あるいは、他の何かの商品を開発をすれば良いと結論づけられます。
この店では、ミルクシェイクの売り上げを拡大するためにアンケート調査をしていたとのことです。
そのアンケート調査で、どんな味を好むのかを調べたりと色々と試みましたが、売り上げを拡大するには至りませんでした。
アンケート調査では、「運転中の退屈しのぎ」がニーズであるとは気づけなかったのです。
ニーズについては、お客さんやお客さんになるかも知れない人の声を聴けば答えが得られるわけではないのです。