イノベーション創出とデザイン思考

ビジネスモデルにイノベーションを起こす

Topic 63 集客商品と収益商品の組み合わせで、客数と客単価を確保する

 

売上高=客数×客単価

 

ビジネスモデルを発想するときの基本中の基本の式です。
その客数と客単価をどうやって確保しますでしょうか?

 

店頭にそんな安い値段で売って元が取れるのか?と思うような激安商品が並んでいるのを見たことがあると思います。
もうけがほとんどないか原価割れで売っている商品です。
ロスリーダーと言われる集客の手法です。
お店の中にいかにして、お客さんを呼び込むかの常套手段です。
お店に中には、利益率が高い収益商品が多くあります。
ロスリーダーを誘い水にして、客数を確保して、店内の商品で客単価を確保するのです。

 

このような例はたくさんあります。
居酒屋では、お客さんの来店があまりないであろう時間にハッピーアワーと称して、ドリンクを割安で提供していることがあります。
それは1杯目だけとして、2杯目と料理で収益を確保すれば良いのです。
客数と客単価を確保できていますよね。

 

ロスリーダーは、採算度外視の例ですが、ほどよく集客商品と収益商品を組み合わせている光景はよくあることです。
やみくもに集客商品と収益商品を取り入れてしまえば良いのではないのです。
集客商品と収益商品の組み合わせを「3対2」とするのが良いとも言われます。

集客商品が多すぎれば、客単価を確保できなくなります。
逆に収益商品が多すぎれば、客数を確保できなくなります。
その絶妙とも言えるバランスが集客商品対収益商品の比率「3対2」と言うことです。

 

飲食店であれば、サイドメニューやトッピングの利益率を高くしていることもあります。
メインの料理は安く設定して、集客力を高めます。そのうえで魅力的なサイドメニューやトッピングでもうけるのです。
お客様感謝デーを設けて、その日は採算度外視のメニューを提供して、お客さんとの関係性づくりをしている例もあります。

 

サービス業であれば、オプションメニューです。
いろいろと勧められて、オプションメニューも頼むと高くなってしまった経験はないでしょうか?
基本料金での提供は必要最小限として、オプションメニューで魅力的な商品を提供するのです。

 

こんな例もあります。コストコホールセールです。
コストコホールセールは多くの熱狂的なファンの獲得に成功しています。
最大の要因は、高品質な商品の品揃えであるにもかかわらず安値で提供し、高い顧客満足につなげていることです。
どうして、安値で高品質な商品を提供しながらも利益を出すことが可能なのでしょうか?
最大の理由は、会員制にしていることにあるのです。
年会費を獲得するのに実質的に経費を必要としないので、そこでしっかりと稼いでいるのです。
なので、店内で販売する商品でさほど儲けなくとも商売として成り立っているのです。

 

高品質な商品を割安感で買えてしまうという余りにも当たり前なことがコストコホールセールの価値提案なのです。
このお得感によって、コストコホールセールの熱狂的なファンになってしまった人が多いと言うことです。
お得感を感じもらうことが、ビジネスでの成功にいかに貢献するかの好例と言えます。

 

年会費を獲得することには、もうひとつのメリットがあります。
手許のキャッシュを増やすことができることです。
手許のキャッシュを増やすことは、すなわちは、運転資金の確保ができるということです。
キャッシュが枯渇することが、企業経営に与えるインパクトがどれほどのことかは、言うまでもないでしょう。

 

利益率が異なる商品を取り扱うことをアイデアの発想に取り入れると価値提案の幅が広がります。
さらには、ビジネスモデルをどうデザインするかの幅も広がるのです。

 

大切なのは、お客さんにいかにして、お得感を感じてもらうかです。
お得感とは体験価値です。
ロスリーダーはお客さんを引き寄せるには、有効な手段のひとつです。
ですが、店内での体験価値がいけてなければ、何の意味もないのです。
せっかくのロスリーダーも客単価アップにつながらないことには意味がないと言うことです。
どのような価格戦略としたとしても、顧客目線は必要ということです。

 

安かろう悪かろうでは、お客さんの気持ちを引き留めるのは難しいのです。

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