イノベーション創出とデザイン思考

ビジネスモデルにイノベーションを起こす

Topic 61 ストーリーテリングをビジネスに取り入れる、ビジネスを語るときに文字、数字、グラフのような情報が主人公になっていませんか?

ストーリーテリングの手法を取り入れて、プレゼンテーションをすることで、聞き手に強く印象付けるのです。
文字、数字、グラフのような情報を羅列するのではなく、ストーリー性をもって語ることで相手の気持ちを引き寄せる試みです。

あなたの会社のマネジメント層は変化を望んでいるでしょうか?
言葉では、新しい取り組みを望むようなことを言っても、いざとなったら新しいことを取り組むことによるリスクの話しになったりしていませんか?
なかなか革新的なビジネスモデルに対しては心を開いてはくれないのが現実だと思います。
そこで、ストーリー性をもって語ることで気持ちを引き寄せるのです。
これは、対外的なステークホルダーに対しても同じことです。

ビジネスモデルキャンバスは、ストーリー性を持ってビジネスモデルを語るツールとしても有効です。
ビジネスモデルキャンバスの9つの要素は密接につながっています。
そのつながりをストーリーで語るのです。

・どんな「顧客セグメント」に対して、
・どんな「価値提案」を提供して、
・顧客に対してどんな「チェネル」でアプローチをして、
・「顧客との関係」をどう構築することで、
・こんな「収益の流れ」を得て、
・それを実現するために、こんな「リソース」を活用して、
・そのリソースを活用して、こんな「主要活動」をして、
・それには、こんな「パートナー」が必要となり、
・それによって、こんな「コスト構造」が必要となる。

すべてがつながりますよね。

 

成功しているビジネスモデルは、ストーリーを語ることができるものです。
ビジネスモデルキャンバスはビジュアルで表現するツールです。ビジュアルで表現することで非常に分かりやすく伝わるのです。

まずは、自分でストーリーを語ってみることです。
ストーリー性を持たせて話してみると矛盾していることや話しのつながりがいけていないことに気がつくことがあります。
誰かに聞いてもらうまでもなく、自分で話すことで何か変だとか、何かが足りてないと気がついた経験がありませんでしょうか?

筆者が開催するセミナーでは、受講生に必ずストーリー性を持たせて話してもらう機会をつくります。
ビジネスモデルキャンバスの9つの要素はお互いに密接な関係があるので、組み合わせて考えることが必要とお話しをしています。
ですが、そのようにいくらお伝えしても、なかなかそうはならないものです。
きっと、頭の中ではつながりが出来ているのだろうなと思います。
それで、だいたいが自分で話しをしてみて気がつくのです。

もちろんのことですが、ストーリーテリングは新商品の紹介にも有効です。
新商品の開発のときに設定したペルソナを想定して説明をするのです。
ペルソナは、新商品であるサービスを利用するときやプロダクツを使用するとき、どんな状況にあるのか、コンテキスト(context)を想定して語るのです。
また、ペルソナ像となるような実在する人にストーリーテリングでプレゼンテーションをして、フィードバックをもらうのも有効となります。
お客さんとなる人が主人公なのです。
お客さんのどんな問題を解決するのでしょうか?
お客さんにどんな未来を提供しますか?
そんなことをストーリーで語るのです。
お客さんが知りたいのは、新商品の機能ではないのです。

とかく人は新しいことに懐疑的な動物です。
今までのやり方が正しいと信じていて、疑うことを知らないのかと思うことさえあります。
その根拠は何でしょうか?
今までがそうだったからでしょうか?
過去の成功体験がそうさせているのか、あるいは、さしたる根拠はないのかも知れないのです。
そのような方を相手にして、プレゼンテーションをすると言うことです。
誠意を持って、そのような方の心をいかにして開くかと言うことに尽きるのです。
そこで、聞き手と会話をしながら、徐々に自分のペースに巻き込むのも有効な手段となります。

参考文献
リーン顧客開発 ―「売れないリスク」を極小化する技術 シンディ・アルバレス(著)
ビジネスモデル・ジェネレーション アレックス・オスターワルダー,イヴ・ピニュール(著)

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