イノベーション創出とデザイン思考

ビジネスモデルにイノベーションを起こす

Topic 47 日々の様子を深く知ることによる潜在的なニーズの発見

P&Gの「ファブリーズ」は、日頃洗うことができない衣類や布製品に対して、消臭・除菌を行うものです。
これは、日常生活を深く知ることから生まれた製品とのことです。
「ファブリーズ」の登場によって、洗えない衣類や布製品をスプレーで「消臭・除菌」するという新しい需要を生み出しています。
デザイン思考が新市場の開拓にも有効であることを示す好例と言える製品です。
 
このようなアプローチはエスノグラフィーと言われます。
もともとは、文化人類学、社会学で用いられているフィールドワークによる社会や集団を調査する手法です。その手法がビジネスの現場でも活用されています。
日常の生活やビジネスの日常でどんなことが起こっているのかをフィールドワークで知って、そこから潜在的なニーズを発見するのです。
コピー機のコピー開始のときのボタンが緑色なのはビジネスの現場で起きていることを知ることで生まれたアイデアです。
コピー機を操作するのに四苦八苦している様子をみて、どのボタンを押せばコピーが開始できるのか分かりやすくしたのです。
 
プロダクツやサービスを開発した人が想像もできないような行動を消費者はするのです。
そのような行動をしてしまう理由を知ることもイノベーション創出のヒントとなるのです。
デザイン思考では、お客さんを巻き込んだ新製品の開発を行います。その中でエスノグラフィーは常套手段とも言えます。
もっともデザイン思考などと言わずとも、お客さんの立場となったプロダクツやサービスを開発している企業の多くで行われていることでしょう。
 
外部の人間を巻き込むことによって、何を開発しようとしているのかの機密情報が洩れてしまうのではないか?と思われる方が居られます。
もとより、何を開発しようとしているのかを観察対象者に知らせないのが基本です。そのようなことを知られてしまって変に先入観を持たれて、いつもと違う行動をされては、元も子もないのです。
さらに言えば、他社が、どんな新製品を開発しようとしているのか知ったとしても、だからと言って、その新製品を開発できるかどうかは全く別次元の問題です。
 
顕在化したニーズと潜在的なニーズについては、こちらで述べています。
http://nakanomasashi.hateblo.jp/entry/2017/06/29/075854

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